刑法 司法試験・予備試験 短答&論文の学習にオススメの書籍 まとめ

第一 刑法の学習にあたって

1 刑法は最も点が伸びやすく論証も楽

刑法は、法学としてではなく司法試験という意味においては非常に点が伸びやすく、多くの合格者が得意科目にしている分野です。

ということは、なにが起こるのかというと、刑法が不得意だと他の受験生と露骨に大きな差がついてしまう、ということでもあります。論文は相対評価ですので、基本論点を落とした論証を書くと相当にキツい差になって跳ね返ってきます。

刑法は「みんなが解ける問題は自分も必ず解く」がまず大前提となる科目です。そのうえで、みんなが落としがちな論点や、薄くなりがちな評価を厚く塗っていくことで差をつけていきます。

2 短答は過去問を回しまくる。論証は書きまくる。

刑法に関しては学習方法は非常にシンプルだと思います。

短答についてはひたすら過去問を回しまくる。六法を熟読する……大丈夫、憲法に次いで条文の数が少ない法律です。総論や各論の条文についてメジャーなものは条文番号だけで内容と論点が浮かぶようにしておく必要がありますが、そう難しいことではありません。

論証についてもひたすら過去問を回しまくることと、旧司法試験の中でも、重要な基礎知識についての理解を問われるタイプの問題については解けるようになっておかなければならないです。結局、過去問をひたすらやるしかないですが、刑法は問題も論証もけっこう楽しいですから、飽きることなく論証に取り組めると思います。

3 トレンドは日々移り変わる

刑法はほんの数年で論証のトレンドが変わります。行政法と同様に、日々法理論が進歩している分野です。ですので、裁判官がどのように考えるのかについては常に最新の考え方に触れておく必要があります。

下でも紹介していますが、裁判所職員総合研修所が監修している『刑法総論講義案』に書かれている内容はまさに裁判所の考え方そのものですので、個人的には、この本に書かれている学説から外れたものを自説にするメリットなど存在しないと考えています。

第二 おすすめの書籍

刑法は行政書士試験には関係のない法律ですので紹介しやすいですね。

1 入門書

ファーストトラックシリーズ

基本的に入門書は伊藤塾の伊藤真のファーストトラックシリーズを薦めています。

薄くて安くて読みやすく、これから学習していくにあたって、なにを押さえておかなければならないのかを丁寧に優しく解説してくれています。

内容はあっさりめですが、この本で試験対策をするわけではなく、あくまでも憲法の世界観や考え方を学ぶためのものですから、これで足りるわけです。

図書館にあったりすることもあるので、借りて数日掛けてじっくりと読み、次に紹介する基礎本に進むのも良いでしょう。

2 基礎本

(1)刑法総論講義案(裁判所職員総合研修所監修)

なんと言っても裁判所職員研修所のテキストですので、刑法の学者本・予備校本にありがちな『学説が判例通説と違う』とか『(学説や弁護士としては、)この判例は不当と考えるべきであり論証では判例ではなく◯◯説が妥当する』とかいうような受験生として迷う部分がなく、要するところこの本に書いてある価値観が現実の裁判所の思考回路および価値判断基準の全て、ということで非常にスッキリと読むことが出来ます。

僕の論証における言い回し・マジックフレーズはこの本から借りているものばかりです。

(2)Go!シリーズ 刑法総論&各論(呉明植)

基礎本であり、同時に、短答・論文両対応の試験対策本でもあるという一挙両得を超えた一石三鳥めいた都合のいい一冊です。

この本の特徴は論文に記載する『定番のフレーズ』を網羅したいわゆる『論証パターン』が豊富にのっているところです。短答知識と論文知識を同時に並行してインプットしていけます。

前記の刑法総論講義案で裁判所の考え方をバチッと抑えて、Goシリーズの総論・各論で司法試験に必要になる論点や論証パターンを一つ一つ潰していきます。

この本に載っている問題は短答・論文を通して全てが出題されると考えていいです。

呉先生の他の著書にも論証パターンがたっぷり載っていますので、それぞれのエントリーで紹介します。

3 短答対策

(1)辰巳の短答本

ド定番の辰巳の短答本。原則、これ一冊をひたすらぶん回していたら短答はそれでオッケーだと思います。全ての選択肢の◯✕と理由付けまで答えられるようになりましょう。

解説が手厚いですので、間違った肢はもちろん、消去法で正解したものの◯✕がつけられなかった肢(実は、これをほっとくのが一番キケン!文字通り、将来、命取りに!)を改めて知識補完することができます。

(2)伊藤真の速習短答過去問(ソクタン)

正答率80%超えの問題ばかりを集めた本。要するに、ここに載っている問題がもし1問でもわからないのであれば、『メチャクチャにヤバイ』ということですので、サクサクと知識を完成させましょう。

知識を確認しつつ、致命的な知識抜けがないかを教えてくれる良書です。辰巳の短答を1〜2周してから効果測定としてトライするべき一冊。

4 論文対策

伊藤塾試験対策問題集:論文

司法試験と予備試験で別々にありますが、予備試験組とはいっても結局、過去問が少ないので司法試験や旧司法試験の問題に頼ることになるでしょう。

この二冊以外にも、他人の書いた合格答案は良いものも悪いものも読めるだけ読んでおきましょう。絶対に損はしません。

5 判例研究

(1)判例50! (START UP)

判例百選は実務家御用達の記述で初心者にとってはかなりとっつきにくいもの。

その点、このSTART UPシリーズは初学者向けに『全員知っているのが当たり前』のSランク判例50個を通じて判例の読み方からレクチャーしてくれるという、たいへんアリガタイ企画で作られています。憲法と刑法からスタートしましたが、今は他の法律もシリーズ展開されているので、全ての法律でまずはこの本を読むことをおすすめします。

(2)憲法判例百選

言わずと知れた判例百選シリーズ。なんというか、『持っているのが当たり前』『読んでいるのが当たり前』『論証お約束フレーズにマークいれて何度も何度も読み込むのが当たり前』というぐらいの存在です。

(3)刑法総論判例インデックス

学者の解説より判旨と結果だけでいいよ!という人はこちらで。

というか、これで十分かも。百選は百選で、いろんな学者さんのそれぞれの自説からのポジショントークを読めて面白いのは面白いのですが、司法試験に於いては正解=最高裁見解・判例・実務でしかありませんので、難しいところです。

この本は、そういう難しいところ(いや、受験生にはそもそも学説対立なんか関係ないんですけどね)を意識しなくて済みます。

6 リファレンス

択一六法

紹介はしておきますが、憲法と同じく刑法に関しても択六はなくてもなんとでもなると思います。しかし、これまた憲法と同様に、あると確認にすこぶる便利ではあります。

ともあれ、購入の優先順位としては他の本や他の法律の本のほうがずっと高いでしょう。

第三 おわりに

刑法はほぼ『本を読み込んで短答を解きながら手を動かして論証パターンを身体に染み込ませる』ことで点がどんどん伸びていく科目ですので、刑法総論講義案とGoシリーズの総則・各論だけで理論面はほとんどカタが付くと思います。

以上

司法試験・予備試験 オススメの学習書・基礎本(総合まとめ)


スポンサーリンク

シェアする

スポンサーリンク